1型糖尿病、2型糖尿病、その他の糖尿病、境界型などがあります。様々な内分泌代謝疾患に糖尿病が合併することがしばしばあり、また他の疾患により糖尿病が誘発されたり悪化してくることもあります。コントロールが悪いと糖尿病合併症を引き起こし大きな問題となります。したがって幅広く目配した診療、長い先を見つめた診療が求められます。
糖尿病診療には患者さんが常に自分の病気の状態、そして将来起きう得る事象などをよく理解し、その上で日常生活を見直すことが極めて重要です。それぞれの患者さんの生活を分析しながら、患者さんと一緒にその理解を深めていくように努力します。それぞれの方の生活背景を考慮した食事療法、運動療法を探していきます。食事療法、運動療法を基礎に、肥満の方には減量に取り組んでいただき、病態に応じて糖尿病治療薬を単独に、または様々な組み合わせで使用します。
糖尿病治療薬は近年多くの新しい薬が開発され、その選択肢が格段に広がり、治療成績もよくなってきています。8系統の内服薬、各種のインスリン、GLP-1受容体作働薬などがあります。インスリンとGLP-1受容体作働薬は注射製剤ですが、当院では外来でもこれらの在宅自己注射治療を開始することが可能です。ただし十分の理解と遵守が求められます。2型糖尿病であっても、インスリン枯渇に陥った場合や、糖尿病発症早期であってもラ氏島機能を維持、回復させるために必要と考えられる場合はインスリン療法を行います。
薬物介入についてはインスリン抵抗性、インスリン分泌動態、インスリン分泌能の回復の可能性、合併症の有無などを分析しながら、慎重に治療法を選択していきます。インスリン抵抗性を改善し、長期的にインスリン分泌能を守り、その上で合併症の予防につながるものでなくてはなりません。
I型糖尿病はインスリン治療が必須です。長期成績が健康な人と変わらないように、また日々の生活に問題が無いように、様々なインスリン製剤を組み合わせて、また場合によっては内服薬を併用していきます。低血糖がなく、高血糖も抑えた良質の血糖コントロールを長期にわたって求めていきます。I型でのインスリン治療開始は糖尿病昏睡などでは入院が必須ですが、それ以外は、場合によっては外来での導入を行っています。糖尿病とはなんたるかをよく理解し、よい治療環境を作るための勉強をしていただきます。良好なコントロールを維持するためには基本的には1ヶ月に1度の通院が望まれます。
2型もI型も合併症(大血管障害、糖尿病網膜症、腎症、神経症など)の最大限の予防を行います。眼症については原則として1年に1回の眼底検査を行います。
いずれの糖尿病においても血圧の管理、脂質異常症の是正が血糖値のコントロールとともに重要です。当院では血圧の管理、脂質異常症の管理、高尿酸血症の管理を血糖のコントロールと平行して厳密に行っていきます。
また、糖尿病は様々な甲状腺疾患や下垂体疾患、副腎疾患などと合併することが少なくありません。I型、2型糖尿病と他の内分泌疾患をともに一施設で専門的治療が受けられることは当院の大きな特徴です。
高LDLコレステロール血症、高中性脂肪血症などですが、まず治療の必要性を検討し、ともに考えて行きます。食事・運動療法が必要ですが、それでは不十分な場合が多く、脂質異常症のタイプによって最適な薬物療法を組み合わせます。安定したら2~3ヶ月に1度の通院になります。家族性高コレステロール血症では冠動脈疾患などに注意し、内服薬治療で不十分な場合はPSCK9阻害薬(注射薬)の使用も考えます。
(日本動脈硬化学会ホームページ http://jas.umin.ac.jp)内臓肥満を基礎に、高血圧、脂質異常症(高中性脂肪血症、低HDLコレステロール血症)、耐糖能異常等が生じる病態は、それぞれの異常が軽度であっても複合して存在する場合、冠動脈をはじめとする動脈硬化性疾患などを進行させるので、内臓肥満の是正が必要とされます。内臓肥満の程度は腹囲やCTで推測できます。当クリニックではそれぞれの人の生活背景を考慮し、生活習慣の是正をご指導いたします。入院が必要になるような疾患ではありませんが、なるべく早くからの取り組みが必要です。薬物治療を早期から勧める場合もあります。
飲酒制限、肥満の是正などが基本ですが、尿酸代謝異常の原因にあわせた薬物治療が必要になります。型分類を行い、それを基に薬を選択いたします。痛風発作を防ぐだけではなく、腎臓・血管系を守る姿勢が必要です。糖代謝異常、高血圧症、高脂血症の治療と併せて行って行かねばならないことが多い疾患です。
(日本痛風・核酸代謝学会ホームページ http://www.tukaku.jp)